幸せのポケット

畳の原料となるイ草は世界中に分布しています。イ草は大方の作物と異なり、殆どの植物が枯れる秋の終わりに植え付け、寒い冬にじっくりと地中の根を養い、春暖かくなると同時に一気に茎を伸ばします。他の植物と比べて、とてもたくましい植物です。

イ草の芯はスポンジ状になっており、この芯はゆっくりと時間をかけて燃える性質があるため、昔あんどんやろうそくの芯として利用されていました。そのため、イ草のことを「灯芯草」(とうしんそう)とも呼びます。

よく生育したイ草の茎は、スポンジ状の組織(気泡)が発達していて、茎も丸々と肥えています。この気泡は、蜂の巣と同じような六角形の構造をしていてつぶれにくく、また、たくさんの空気をため込むことができます。ここには、イ草が数ヶ月をかけて生育する間に、自然のエネルギーをめいっぱいため込んでいるかのようにも思われます。

 

 イ草には、空気中の水分を吸ったり放出したりする働きがありますが、放出するのはとてもゆっくり行われます。これと同じように気泡にため込んでいる自然のエネルギーもゆっくり放出しているのかもしれません。

 

 つまり、イ草の気泡は自然のエネルギーをため込む幸せのポケットなのかもしれません。そのエネルギーをゆっくり放出すると、、、その部屋(和室)は幸せに包まれる。そして、その和室にすむ人たちを幸せにしてくれる。

 

イ草には、そんなすてきな妖精が住んでいるかも知れませんね。

カビは住まいのバロメーター

畳替えをしたばかりの新しい畳表は、気分がいいものです。

しかし、その新しい畳表で初めて迎える梅雨時に、畳の表面にカビが発生することがあります。

 

畳床畳表は湿気が多いと吸収し、乾燥すると放出する機能がありますが、日本の6月から8月にかけては、極端な高温多湿の状態になりやすい時期です。

そため、その余剰な湿気を畳床畳表が大量に吸収した結果、本来望ましくないカビの発生に至ってしまうのです。

 

この時期に部屋の中で除湿機を運転すると、多量の水がタンクにたまります。畳はその多量の水を吸収させられているのです。

 

もともと、畳表の原料であるイ草は、芯がスポンジ状になっており、湿気が多いときはそれを吸収し、乾燥すると放出するという調湿の機能があります。

 

畳表は、高温多湿の日本の風土において、元来、気密性の低い日本古来の建築様式において、室内の湿度を一定に保つという、理にかなった重要な役割を担ってきたものであります。

(湿度が急に上昇した時に蓄えた水分は、湿度の低下した日中等に、徐々に放出されてゆき、再び湿度の上昇したときに備えている)

 

しかし、近年、気密性の高い家屋が建てられるようになり、また共働きなどで昼間留守がちの家庭が増え、気温の高い日中に部屋を密閉せざるを得ない環境が生じてしまっています。この状態は、畳にとっては、水分を吸うばかりで、放出する機会がない状態に置かれているということです。

 

このため、本来、調湿機能を持っているはずの畳が、保湿効果のみに作用してしまい、湿度の異常に高い状態を保持してしまった結果、カビが発生することになってしまったのです。

 

このようなときは、食品もすぐに腐りやすくなったりと、住環境がきわめて悪い状態といえます。

 

すなわち、畳のカビは「住環境のバロメーター」といえるのです。

畳にカビがはえたら、カビを除去した後、室内の湿度を下げる工夫をしましょう。